現役20年の意地 車いすラグビー岸光太郎の終わりなき戦い

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 そのために工夫を凝らしているのが、オリジナルの競技用車いすだ。

■車いす前部に相手ブロック用バンパー

 攻撃選手が小回りに優れ表面に凹凸のない競技用車いすを使用するのに対し、岸さんの車体は前後に長く、最前部には相手ブロック用のバンパーが装着されている。重量は約15キロ。バンパーを攻撃選手のタイヤ前に入れ、相手の動きを封じ込める。
 
「この攻防は一瞬、というかミリ単位の攻防で、本当に僅かの差。いかに相手の動きを先読みし、少しでも味方が有利になるよう体やバンパーを使って相手を止めるのが主な役目です。私は障がいが重いため、スピードが遅くなりがち。だから、車体を目いっぱい長くして、少しでも相手を止められるよう、細かい部分をカスタマイズしています」

 ドイツ製の逸品はフルオーダーで1台およそ100万円ほど。転倒防止と手の保護のため、タイヤはハの字型に取り付けられている。相手のタックルを受けると頻繁に転倒するため、車体はどこもキズだらけ。当然、生傷も絶えない。

「試合を観戦すると衝突の音や衝撃は想像以上だと思いますが、意外にタックルされてもそれほど痛くはない。転倒して肌を擦ったり切ったりすることはありますが、それは普通のスポーツでも同じですから。恐怖心は正直、あまりないんです」

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