現役20年の意地 車いすラグビー岸光太郎の終わりなき戦い
パラリンピックの競技の中でも最も激しい衝突が繰り広げられる車いすラグビー(ウィルチェアーラグビー)。96年から20年間プレーを続け、今夏リオ・パラ五輪での活躍に燃える“レジェンド”がいる。岸光太郎さん(44)だ。
大学生だった94年1月にバイク事故で頸椎を損傷。車いす生活となり、下半身や両手が自由に動かせなくなった。苦しいリハビリや不自由な体に落ち込むこともしばしば。そんな時、リハビリの先生から紹介されたのがこの競技だった。
「うわさでは聞いていましたが、実際に試合を見てみると衝撃、スピードが半端ではなくて。競技車同士が激突し合うちょっとした“交通事故”が常にコート上で起こっている感じ(笑い)。そこに魅力を感じて、すぐに『やりたい』という気持ちになりました」
車いすラグビーは障がいの度合いにより、各選手に「持ち点」が設定される。岸さんは0・5点から3・5点までの7段階で最も障がいが重い「0・5点」。車いすラグビーは、コート上の4人の合計点を8点以内で編成しなければならない。下半身の自由がきかず、両手でバンザイすら困難な岸さんは、相手の攻撃を阻む守備的役割を担う。