著者のコラム一覧
澤木啓祐元陸連強化委員長

1943年、大阪府出身。順天堂大学4年時に箱根駅伝2区で区間賞、初優勝に貢献。65、67年ユニバーシアード5000メートル優勝。67年同1万メートル優勝。メキシコ、ミュンヘン五輪5000メートル、1万メートル代表。1500メートル、5000メートル、1万メートル、20キロなど7種目の日本記録を樹立する。74年から母校・順大で指揮を執り、箱根駅伝では4連覇を含む9度の総合優勝を果たす。元日本陸上競技連盟強化委員長、専務理事、副会長を歴任。現順大大学院スポーツ健康科学研究科特任教授、日本盲人マラソン協会理事長、医学博士。

<上>競歩のレベルを上げるためにマラソンの力を借りた

公開日: 更新日:

 リオ五輪の日本選手団は41個のメダルを取った。50キロ競歩で日本初のメダルを獲得したのが荒井広宙(28)だ。レース終盤、カナダ選手を振り切り3位でゴール。直後の失格騒ぎなどもあって話題を集めた。競歩の発展に尽力した関係者はあまたいるが、元日本陸連選手強化委員長の澤木啓祐氏(72=順大特任教授)もそのひとり。国内競歩の軌跡と、それとは対照的に衰退している国内マラソンについて聞いた。

――リオで競歩が、やっとメダルを取りました。

「国内競歩のパイオニアといえば斉藤和夫さん(故人=元陸連競歩強化部長)です。長距離から転向し、1964年の東京(25位)、68年メキシコ五輪(17位)の50キロに出場した選手です。メキシコ大会は標高約2300メートルでの開催だったのですが、高地トレーニングに対する取り組みが未熟だったことで、思うような結果につながらなかった。そこから競歩は、メキシコでの高地合宿を繰り返すことになったのです」

――それから50年近く経っていますね。

「科学的、医科学的な数値を出しても、現場の指導者は競歩の経験値を優先し、トレーニングの知識やノウハウが少なかった。科学的なデータと現場がうまく融合しなかったのです。私が2001年に強化委員長になってから、競歩の指導者にはもっと幅広く勉強をしてもらいたいと伝えた。指導者は誰もが専門バカなんです。バカにならなければいい作品(選手)はつくれないんだが、世界と戦うわけですから、いろいろな知識があった方がいい。その第1弾が、今の陸連競歩部長を務めている今村文男君の海外研修です」

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大友康平「HOUND DOG」45周年ライブで観客からヤジ! 同い年の仲良しサザン桑田佳祐と比較されがちなワケ

  2. 2

    阪神・西勇輝いよいよ崖っぷち…ベテランの矜持すら見せられず大炎上に藤川監督は強権発動

  3. 3

    歌手・中孝介が銭湯で「やった」こと…不同意性行容疑で現行犯逮捕

  4. 4

    佐々木朗希の足を引っ張りかねない捕手問題…正妻スミスにはメジャー「ワーストクラス」の数字ずらり

  5. 5

    阪神・藤川監督が酔っぱらって口を衝いた打倒巨人「怪気炎」→掲載自粛要請で幻に

  1. 6

    巨人・小林誠司に“再婚相手”見つかった? 阿部監督が思い描く「田中将大復活」への青写真

  2. 7

    早実初等部が慶応幼稚舎に太刀打ちできない「伝統」以外の決定的な差

  3. 8

    「夢の超特急」計画の裏で住民困惑…愛知県春日井市で田んぼ・池・井戸が突然枯れた!

  4. 9

    フジテレビを救うのは経歴ピカピカの社外取締役ではなく“営業の猛者”と呼ばれる女性プロパーか?

  5. 10

    阪神からの戦力外通告「全内幕」…四方八方から《辞めた方が身のためや》と現役続行を反対された