世界記録保持者・鈴木が途中棄権 “競歩アピール”が裏目に
23日に行われた世界陸上・男子20キロ競歩に出場した鈴木雄介(27)がレース途中に「棄権」した。
10キロ過ぎまでは先頭集団に食らいついたものの、今大会前から悩まされていた恥骨炎の痛みが7、8キロ過ぎから出てしまった。「さらに悪化するかもしれないと思い、10キロ過ぎに棄権を判断した」という。
3月の国内大会で1時間16分36秒の世界記録を樹立。以後は、「リオ五輪の金メダル最有力候補」と言われ、今大会でのメダル獲得も確実視されていたが、期待を裏切った。
世界記録を出してからの鈴木は、「時の人」となり、テレビを中心としたメディアやイベントに引っ張りだこ。本人は「競歩をアピールするいい機会」と思ってマスメディアに出ていたのかもしれないが、まるで「おもちゃ扱い」だった。ある番組では歩く速さを強調するため、何度も全力疾走するキャスターと競走させられた。5月に東京ドームで行われた巨人戦の始球式でも、右翼ポール下から球団マスコットと競走しながらマウンドに上がるパフォーマンスを見せていた。こうした「お遊び」が調整を狂わせ故障につながったのではないか。
レース後鈴木は、「来年が一番の本番ですから」と、リオ五輪に向けて気持ちを切り替えていた。本気でメダルを狙うなら、つまらないイベントやテレビ番組には出ない方がいい。