ロッテのドラ1安田尚憲を開花させた兄の背中と父の金言
優しすぎる弟の性格を不安に感じ、亮太さんはあえて厳しいことを言うこともあった。
「『体が大きいだけ』とか、かなりキツイことも言った。小中学生の頃は涙目になりながらも反論することなく静かに聞いていました。僕としては、いざ厳しい状況に直面したとき、慌ててほしくなかったんです。ある意味、ここまでは大きな壁にぶつからず順調に来られた。でもプロ野球は、チームメートは仲間でもあるけどライバルでもあります。時には蹴落とすこともある残酷な世界ですから」(同)
高校生になると、マスコミから「東の清宮、西の安田」ともてはやされるようになる。
「清宮くんの存在もあって、弟が注目されることも多くなりました。でも、実際のレベルは全然違う。かといって『“清宮はスゴイ”と言っているようじゃあ、いつまで経ってもダメじゃないの』という話はしました。今では向こうからLINEや電話で聞いてくることも増えましたね。今の時期が大事だという話もしました。(高校野球を)引退したこの時期はみんな練習しなくなる。ようやく『普通の高校生』になって自由になる。でもこの半年間、何もしないのはもったいない。だから、(大阪大会の)準決勝で大阪桐蔭に負けた日の翌日、弟に『練習行くぞ』と言って、履正社のグラウンドで2人だけで練習しました。その一歩が大事だと思うんです。週1~2回休んでもいいから、体を大きくしてプロ野球に対応できる体づくりをしてほしい」