「中距離女王」が涙の銀…高木美帆が頂点を逃した要因
01年世界ジュニア選手権覇者で、10年バンクーバー五輪代表の土井槙悟氏は「高木選手にとってはアウトコースでスタートし、最後のバックストレートで追う理想的なレース展開でした」とこう続ける。
「今の実力をいかんなく発揮し、平地ではベストに近いレースだったと思います。予定していた通りのラップタイムを刻めたはずです。実力はブスト選手に決して引けを取りませんが、タイムを上回ることができなかったのは、強いて挙げれば経験値の差が出たのではないでしょうか」
この日のブストはコースを変更するクロスの際、相手選手とタイミングが合わずに、速度が低下。その後は巻き返して最後までペースダウンすることなくフィニッシュした。
「レース中にアクシデントがあると、大半の選手は動揺し、力んでタイムが伸びないケースは少なくありませんが、ブスト選手はこれまでの経験から、平然と滑っていました。今季のブスト選手は故障もあってW杯序盤は振るわなかったものの、五輪に合わせてしっかりと調整してきた。ここ一番の爆発力も高木選手が持ち合わせていないものでしょう」(土井氏)
高木は五輪初出場となった2010年バンクーバー大会1000メートル35位、1500メートルで23位。前回ソチ大会は代表落ちし、今回が2度目の五輪だった。確かに経験値では分が悪い。今後の1000メートル、団体追い抜きでは期待通りの結果を残せるか。