著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

チアリーダーも女性GMも存在せず 大リーグの「性の壁」

公開日: 更新日:

 公共の場でスエットパンツを着用することが禁止されていたり、除毛や脱毛の方法から生理用品の使い方まで細かく規定されているのは、チアリーダーを取り巻く環境の旧態依然としていることを示すとともに、人々から寄せられる視線の強さを示唆する。

 このようなチアリーディングの分野に男性の参加を認めたのがNFLのラムズだ。すなわち今年3月、ラムズはクイントン・ペロンとナポレオン・ジニーズの2人をチアリーダーとして採用したのだ。

 これまでもNFLではレイブンズやコルツがスタント要員として男性を採用したことはあった。だが、ペロンとジニーズはNFLで初めて他の女性たちとともにダンスも担当する男性となったのである。

 クラシックバレエを習得し、踊り手や振付師として活動してきたペロンとジニーズの参加による不都合が生じず、むしろチアリーディングの内容が向上すれば、ラムズにならって男性を採用するチームが現れることだろう。

 これに対し、チアリーダーが存在しない大リーグでは、ラムズの話題はもっぱら他人事として受け止められている。

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