まだある三宅会長パワハラ 重量挙げメダリストに陰湿差別
日刊ゲンダイの取材で明らかになった、日本ウエイトリフティング協会のパワハラ隠蔽問題が大きな波紋を呼んでいる。日本代表女子監督を兼任する三宅義行会長(72)にコップを投げつけられるなどした元女子トップ選手の告発を、同会長と当時の専務理事ら一部のみで協議し、「パワハラはなかった」と認定して闇に葬ったとされる疑惑だが、これには続きがある。
■会長就任後は周囲から畏怖される存在に
三宅会長は、今月1日に開かれた協会の常務理事会で、経済同友会の幹事でもある古川令治常務理事(64)からこの問題を指摘された。
理事会の空気が一変する中、三宅会長は告発文書が提出された事実を認めた上で、「ほとんどが嘘だった。だからパワハラはなかったと認定した」と、開き直るように発言。古川氏が、「訴え出た当事者の話を聞いていませんよね? 協会の規約には、問題が生じた場合にはまず、当事者にヒアリングをし、そのうえで倫理委員会を開いて事実を調査する、とある。当事者に一切話も聞かないで、パワハラはなかったと認定するのは明らかな違法。欠席裁判だ」と異議を唱えると、「告発文書は選手のコーチが持ってきた。代理人であるそのコーチから話は聞いて協議した。だから、違法ではない」と言い募り、あとは「もう終わった話だ。蒸し返す必要はありません!」の一点張りだったという。
この日の日刊ゲンダイの報道を受け、日本ウエイトリフティング協会は11日、小宮山哲雄専務理事が取材に応じ、2015年8月に告発があったことを認め、12日にもコンプライアンス委員会を開くとした。小宮山専務理事は「三宅会長(当時副会長)と前専務理事、女子選手の指導者、所属の社長の4者で協議した事実はある」としたが、日刊ゲンダイの取材では問題を協議した当時の事務局長、専務理事、そして選手のコーチは全員、法政大OBで三宅会長の後輩にあたる。そもそもが“欠席裁判”のうえ、これでは古川氏が「もみ消しを図ったと言わざるを得ない」と問題視するのも当然だ。
三宅会長は1968年のメキシコ五輪で銅メダルを獲得。長女の宏実を12年ロンドン、16年リオと五輪2大会連続メダリストに育てるなど、斯界の功労者であることは誰もが認めている。が、それ故に威光は絶大。13年に日本代表の女子監督、16年9月に協会の会長に就任してからは、いよいよ周囲から畏怖される存在になった。
自らが与えたメニューとは違う練習をしていただけで選手にコップを投げつけ、意に反せば練習場から閉め出す、食事中に挨拶がなかったという理由で怒鳴りつける、といった告発文書に記されていたとされる数々のパワハラが表面化するようになったのも、その頃からだという。