SB柳田に評論家意見も 打者の大振りは決して“悪”ではない
ソフトバンクの柳田悠岐(30)が日米野球で存在感を見せている。柳田の持ち味といえば、フォロースルーでバットが自分の背中を叩くほどのフルスイング。そんな豪快な振りで今季も打率.352で首位打者、36本塁打、102打点と圧倒的な数字を残したが、それでも「あんな大振りをしなければ、もっと確率が上がるのに」という野球評論家の意見を耳にすることが少なからずある。
日本ではいまだ、「コンパクトなスイングでセンター返しが基本」と考える指導者が多くいる。相手投手を打ちあぐねると、試合中の円陣で「バットを短く持って逆方向に」と打撃コーチが指示をしたりする。そういう人たちからすると、フルスイングは大振りとイコールで、すなわちそれは「悪」というイメージを持つのだろう。
投手出身の私は、全く別の考え方だ。フルスイングは確かに、脆さと背中合わせのところはある。しかし、それを補って余りあるほどの重圧を投手に与えるものだ。投手は大振りする打者に穴が見えても、同時に、甘いコースに入れば一発長打という恐怖心を抱く。コントロールミスはできないという思いが腕を縮こまらせ、痛打されたり、制球が乱れて四球を与えたりする。フルスイングは投手を狂わすのだ。