プロでメシ食う気概 「問題児」の野球ノートを見て驚いた
部長は会議でこう言って、その投手の獲得を猛烈にプッシュした。会議が終わって、部長にどこがどう「気概がある」のか聞いたんだ。
すると「こんなことを書くヤツのどこが問題児なんだ。たまたま高校の野球部のチームカラーと合わなかったからそう見えただけだろ」と言って見せてくれたのがスマホで撮影した彼の「野球ノート」だった。
見てたまげたね。そこには、自分は親の反対を押し切ってプロに行こうと決めたこと、ドラフトで指名されてもまだスタートラインに立ったに過ぎないこと、1月の自主トレを目指していま以上に体を鍛えること、そのために毎日やっているトレーニングの中身などが具体的に、しかも、しっかりした字で記されていた。
「プロに入ることを目標にしてる選手は意外と多い。例えば何年か前の入団発表で選手に付いてきた母親は、着物を3着も持ってきて、イベントのたびに着替えてた。息子をプロに入れるのが何よりの目標で、終着点なんだ。そういう親の子供はまず期待できないね。そこへいくとヤツは、両親まで入団発表が入り口だってことを自覚してたからな」
入団発表でひな壇に立つルーキーたちの姿を見ながら、部長のこんな話を思い出した。
(プロ野球覆面スカウト)