事実上のクビ…イチロー現役引退の裏にマリナーズとの暗闘
イチローの思いとは裏腹に、マリナーズは若返りが急務だった。昨シーズン終了後、主力を片っ端から放出するファイアセールを敢行。エースと抑えと主砲をトレードやFAで出す見返りに、数々の若手有望株をゲット。「我々は若手が成長するであろう2020年に照準を合わせている」と、ディポトGMは来年以降が勝負であることを隠そうとしなかった。
■マリナーズにとっての功労者だけに
それでもマリナーズにとって、イチローは今回の日本開幕の目玉。結果にかかわらずマリナーズのユニホームを着せ、試合で起用することは商売上の大きなメリットがあった。しかし、日本開幕が終われば、チームに置いておく必要性はまったくない。若返りが急務なマリナーズにとっては、むしろ邪魔なだけだった。
イチローは野球殿堂入りが確実視されているスーパースター。クスリを使ってまで本塁打を量産する風潮に辟易していた米国のファンを、類いまれなバットコントロールとスピードで魅了した。マリナーズにとっても功労者だけに、不要だからと肩をたたいたり、むげにクビを切るわけにいかなかった。イチローが自分から辞めると言い出すのを待っていたのは明らかだし、オープン戦で結果が出ないことを自覚させ、引退せざるを得ない状況に追い込んだのも事実だ。