日ハム輝星は1月からこだわり 速球いまだ「6~7割」のワケ
吉田に限らず、新人選手は一番いい時の状態に戻すことに苦労する傾向があるとはいえ、吉田特有のベース板の上で浮き上がるような速球を投げられる段階には、まだ達していないようだ。
「吉田は高校時代、2月、3月と力を入れた投げ込みをしていない。そのせいか2月下旬には右腕に張りが出て、一度ペースを落とした。新人用のトレーニングにも並行して取り組んでいる。今は疲労がたまってくる時期。ケガも怖い。首脳陣もあえて無理をさせていませんが……」と、さる日ハムOBがこう続ける。
「吉田は甲子園で大活躍し、U18では根尾や藤原(大阪桐蔭)など強豪校のメンバーらに大きな刺激を受けた。アタマがよく、向上心もある。早い段階で一軍デビューしたい気持ちも強い。ただ一方で、キャンプ途中まではブルペンを見ていても、先を見過ぎているなと感じるところがあった。たとえば、ストレートの精度を上げるためには、これ、という球を投げられたら、その感覚を体にしみ込ませるために、何球も投げ続けるもの。吉田は、1球いいボールを投げたと思ったら、変化球を投げてみたり、フォームをアレコレ考えたりするしぐさが垣間見えた。ストレートに対する意識は高まってきているようですが、そういう意味では少なからず、遠回りしたところはあるかもしれません」
荒木二軍監督は「だんだん落ち着いて見られるようになってきた。でも、本当の力はこんなもんじゃないと思う。テレビで見ていた(昨夏の甲子園の)ボールを早く見たい」と言う。来るべき一軍デビューに向け、まずは急がば回れ、ということか。