「スーパーボウルの100倍」が物語るメジャーリーグの地位
いわゆる米国4大スポーツの中で最も高い人気を誇るのはNFLだ。しかし、日本ではアメリカンフットボールは知名度の低い競技であり、NFLの注目度も高くない。
また、日本で高い人気を持つサッカーは、米国では普及の途上にある。そして、野球は日米でともに国技と位置付けられるほど普及している。
そのため、ジョージ・ブッシュと小泉純一郎がキャッチボールを行ったように、これまで、日米の首脳は野球を活用して首脳間の親密さを示すことが多かった。
通例に従えば、トランプは、大リーグのワールドシリーズを引き合いに出して天皇の即位の価値を尋ねても不思議ではなかったが、NFLを例に出した。
これはトランプが「ゴルフ好き」を公言し、野球への思い入れが少ないことが影響している。
「秋の古典劇」の別名が与えられているように、1903年に始まったワールドシリーズは米国のスポーツ界において高い地位を占める。しかしながら、テレビの視聴率が40%を超えるスーパーボウルと比べると、その視聴率は10%台にとどまっていて、若年層を中心に野球への関心は陰りを見せている。
その意味で、トランプがワールドシリーズではなくスーパーボウルを例に出したことは、現在の米国において野球や大リーグの置かれた立場の厳しさを我々に伝えているのである。