初日から41本 新大関・貴景勝を襲う“多すぎる懸賞”の試練
文字通り、相手を吹っ飛ばした。
新大関貴景勝(22)が昨12日の初日、遠藤と対戦。立ち合いで相手の体を起こすと、立て続けに鋭い当たりを連発。遠藤を難なく土俵下に突き飛ばした。
大関として初めての本場所にも、「いつも通りの精神で臨めた」と、こともなげに言い放った貴景勝。平常心ではなかったのは、むしろ遠藤の方じゃないか。
なにせ、この一番についた懸賞は41本。勝った貴景勝は、その場で現金123万円を手にした。今場所、貴景勝個人に指定された懸賞は340本。15日換算で考えれば、平均1日20本以上だ。懸賞は注目力士に集まる傾向があるとはいえ、この本数は横綱級。大関としては例がない数だという。
もちろん、勝てば大金が手に入るのは、対戦相手にしても同じこと。勢のタニマチである高須クリニックの高須院長は、かつて、「懸賞を出すと負ける確率が高くなっちゃう」と嘆いていた。勝てばその場で現金がもらえるとあれば、誰だって発奮するだろう。懸賞がアダとなって力士を苦しめた例は、過去にいくらでもある。
とはいえ、そうした懸賞目当ての力士を蹴散らしてこそ、横綱の機運が高まるというもの。むしろ、この程度の試練を乗り越えられないようでは、さらなる昇進は夢のまた夢だ。