初回で先発代えるラミレス監督の用兵に三浦コーチの心中は
■指揮官の度量
私も長い指導者生活で似たような経験を少なからずしている。投手コーチとして古巣の中日に戻った2012年のシーズンもそうだった。次から次に投手をつぎ込もうとする監督を、「ここは我慢、我慢です」と何度も押しとどめた。一度、旧知の野茂英雄に「これじゃ、野手の数を減らしてでも投手を増やさないと足らんぞ」とグチをこぼしたら、「増やすんじゃなくて、減らせばいいんじゃないですか。(投手の数が)いなかったら、代えられないですもん」と言われ、ハッとしたこともあった。あるいは、三浦コーチも今、当時の私と同じ心境でいるかもしれない。
ラミレス監督は野手出身。現役時代から素晴らしい実績を残しているとはいえ、投手のことは門外漢だ。
三浦コーチは指導者1年目だが、26年間にわたってベイスターズ投手陣の屋台骨を支えた投手の専門家である。三浦コーチのその経験を生かさない手はないが、それには「投手のことはすべて任せます」という指揮官の度量が必要だ。
就任4年目のラミレス監督は、それまでの8年間で最下位6度のベイスターズを立て直した。独自の信念、独自のデータに基づくラミレス監督の野球、手腕に私は好感を持っている。投手起用の問題が改善されれば、まだまだ巻き返しは可能だと思っている。