データで差がつくのは戦略的優位性ではなく「活用の仕方」
ここ数年、メジャーリーグの世界を吹き荒れたデータ野球旋風も、今シーズンになり、その風速はだいぶ落ちてきたかのようにみえる。
多くの球団がデータ分析を、戦術、戦略、選手育成などに取り込むのをやめてしまった、というわけではもちろんない。むしろその逆。今やメジャーリーグ30球団すべてのチームがデータ解析部門を持ち、日々更新されるさまざまなデータをその戦略に取り入れており、フィールドで行われる一つ一つのプレーはすべてデータに基づいていると言っても過言ではない。
■「戦略的優位性はない」
投手は初球にストライクを投げること。その場合、どの球種から入るのか。打者は初球からスイングしていくこと。狙う球種の見極め、野手側の守備シフト、カウントによる守備位置の変更など、すべてがデータに基づく数値により説明がつくものだ。
「データが戦略的優位性をもたらすことはなくなった」
データをチームの土台づくりに大きく活用し、2017年にヒューストン・アストロズをワールドチャンピオンに導いたジェフ・ルーノウGMはこう語る。