巨人独走で大逆転劇も起こり得ない CSはもうやめるべき
巨人が独走状態に入った。リーグの貯金を独り占めにし、2位とのゲーム差は10。このまま逃げ切るとの見方が多いが、追われるものの苦しさというのはある。
横浜が38年ぶりのリーグ優勝、日本一を達成した1998年、監督だった私もそれを味わった。6月20日に首位に立ち、1カ月後には2位とのゲーム差が5.5に広がった。それまでは気にも留めていなかった後続の足音が、差が広がったことでかえって気になり始めた。最終的にはペナントを手にすることができたものの、常に野球帽の内側に忍ばせていた、「無理せず、急がず、はみ出さず、自分らしく、淡々と」と記した小さな紙切れを何度も見返した。尊敬する天台宗の名僧・酒井雄哉師の言葉をアレンジしたもので、焦るな、怯むなと自分に言い聞かせたものだった。
過去の例を見ても、96年に広島が巨人に11.5ゲーム差をひっくり返され、98年には日本ハムが西武に10ゲーム差、08年は阪神が巨人に13ゲーム差、11年にはヤクルトが中日に11.5ゲーム差、16年にソフトバンクが日本ハムに11.5ゲーム差を逆転されている。当時の監督も逃げる苦しさを味わっただろう。