東京五輪は厚底OK?マラソンの魅力を台無しにする記録偏重
本当にこれでいいのか。
陸上の長距離選手の記録を伸ばすと話題になっているナイキ社の厚底シューズの規制問題について、英ガーディアン紙(電子版)は29日、世界陸連が東京五輪終了後までは禁止しない見通しであると報じた。同紙によれば世界陸連は31日に見解を明らかにする予定だという。
このシューズは、靴底に反発力のあるカーボンファイバー製のプレートを内蔵。クッション性と高い反発力から推進力が生まれやすい構造になっているのだが、「こんなシューズを履いて走ることをマラソンと呼べるのだろうか」という声が専門家の間でも少なくない。
■究極は裸足のアベベ
42.195キロの長距離を走るマラソンは、自らの体力だけで勝負する競技だ。究極は1960年ローマ五輪でアッピア街道の石畳を裸足で走り抜き、金メダルを取ったアベベ・ビキラ(エチオピア)だろう。
ところが昨今は、バネの効いた軽量素材のシューズが開発され、「用具」の力を借りて記録を伸ばしている。賞金レースがそれに拍車をかけている。スポーツライターの工藤健策氏が言う。