ア・リーグのベテランスカウトが菅野の去就を聞いてきた
昨年の防御率は3・89。6年ぶりに防御率が3点台になり、本塁打を20本も打たれた。「ピッチトンネル」と呼ばれる投球の軌道が今年とはまったく違った。
特に異なるのはスライダーの軌道だ。昨年は極端な言い方をすれば投げた瞬間に曲がり始めていたが、今年はストレートとほとんど変わらない軌道を描き、打者の手元で急激に曲がっている。
菅野はここ数年、体がひと回り大きくなったように見える。しかし、山崎のように急激に太ったわけではない。彼なりに計算し、時間をかけ、少しずつ体を大きくしているのだろう。中でもスライダーのキレは昨年と比べものにならないほど良くなった。
菅野のピッチングは米球界のネット裏でも評判のようだ。
2、3日前、わたしと同じく米国にいるア・リーグの国際スカウトから電話がかかってきた。彼は日本人選手も担当しているベテランの腕っこきだ。
その彼が真っ先に聞いてきたのは、ソフトバンクの千賀についてでも日本ハムの有原についてでもロッテの石川についてでもない。菅野がこのオフ、ポスティングシステムで海を渡る可能性について尋ねてきた。「例年なら菅野の調査をしに日本へ行くところだが、今年はコロナ禍で行けそうもない。日本から何か情報は入ってないか」と言ってきたのだ。
巨人がポスティングを認めるかは分からないと答えたが、オフの日本球界に対する米球界最大の関心事が、菅野の去就であることは間違いない。
(メジャーリーグ覆面スカウト)