巨人痛感ソフトとの差…“ヤケっぱち”補強で虎ボーアに照準
ソフトBの「データ戦略」は鬼に金棒
「全てにおいて、ソフトバンクが巨人を圧倒しています」
ホークスOBの評論家・山内孝徳氏がこう言う。
21日に開幕した巨人とソフトバンクによる日本シリーズ。巨人主催の京セラドーム大阪で行われた1、2戦目は、ソフトバンクが投打に圧倒して2連勝。巨人は昨年のシリーズで同じソフトバンク相手に4連敗しているが、今年も苦戦するのは濃厚だろう。冒頭の山内氏が続ける。
「攻守にわたって巨人が不利になる指名打者制が全試合で導入されたのはもちろん、昨年も今年も、投打の『パワーの差』がクローズアップされている。ソフトバンクの投手は球速、球威があり、打者もスイングや打球速度が速い。巨人と比べても『質』が高い選手が揃っています。かつてのV9時代の巨人のようなものです。1、2戦目に先発した千賀、石川は育成出身。巨人も多くの育成選手を抱えていますが、ソフトバンクの場合はイチかバチかでも活躍する可能性がある選手を、データを駆使して調査し、ピックアップしている。他球団が指名を迷うような選手も、能力を信じて取りに行く。だから成功する確率が高い。こうしたデータ戦略は試合においても生かされている。1戦目に栗原が菅野の高めのスライダーを本塁打した。菅野のスライダーはこのコースに来ると、読み切ったうえでのスイングだったと思う。質の高い選手が高度なデータを駆使すれば、まさに鬼に金棒。ソフトバンクに負ける要素は見当たりません」
山内氏が「鬼に金棒」と言うソフトバンクのデータ戦略は、12球団屈指ともっぱらだ。今や広島を除く11球団が導入するトラックマン(弾道や投球の測定機器)は序の口。資金を惜しみなく投入し、AI技術を活用した「ファストモーション」を導入するなど、大リーグと同程度のデータを活用できるという。某パ球団の関係者は、「巨人も最近、データ戦略を重視していますが、ソフトバンクに一日の長がある」と、こう続ける。
「外部から優秀なアナリストをヘッドハンティングし、人数も12球団屈指です。以前からデータ分析に力を入れている分、データの蓄積が豊富で、他球団では検索できないようなデータがPC、携帯用アプリに詰め込まれている。例えば巨人の坂本の対策を練る際に、自分以外の他の投手の投球映像を探して見ることができる。投手が打者攻略の糸口を探る際、他の投手の攻め方が参考になるケースは少なくない。映像データにも優れ、投手のクセなどを徹底解析、周東が50盗塁して盗塁王を獲得できたのは、こうした分析力があったからこそでしょう」
巨人はただでさえ戦力が劣るうえに、データ戦略においても先を越されている。全く歯が立たないのも当然か。