ヤクルト2位・山野太一 父の「志」を胸に神宮のマウンドへ
山野太一(投手・21歳・東北福祉大)=ヤクルト2位
「妻の方からアプローチしてきました(笑い)」
そう語るのは山口県の市役所に勤める父・正明さん(58)だ。
幼少期から育った小郡町(現在は新設合併され山口市)には俳人・種田山頭火が昭和7年から約6年間暮らした其中庵がある。
中学時代の正明さんは野球部で白球を追った。高校ではビートルズや映画に熱中したが、将来を考えたとき、長男だったことや、「地元に貢献したい」という気持ちから役場に就職。そんな正明さんが山野の母・晴美さん(56)と出会ったのは29歳の頃だった。
晴美さんも山口市で育った。一緒に暮らしていた銀行員の叔母の制服姿に憧れ、小学生の頃の夢は銀行で働くことだったという。
中学時代はバスケ部に所属したが、高校受験の時期に人気テニス漫画「エースをねらえ!」に夢中になり、進学後はテニス部へ。3年時にはダブルスでインターハイに出場。迎えた進路選択の際、体育大学で教師を目指すか、それともかつての夢をかなえるか悩んだ末、晴美さんは銀行員の道を選んだ。