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鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

MLB球団オーナーの本業ビジネスがオフの補強に影響及ぼす

公開日: 更新日:

 メッツの場合は11月に投資家のスティーブ・コーエンが球団を買収したことが大きい。コーエンは資産140億ドル以上という米国屈指の富豪であり、本業の投資ファンドも「コロナ禍」でも運用資産を増やしているとされる。しかも、2020年の開幕時点でメッツの年俸総額は30球団中9位であった。

 コーエン体制への移行によって向上した資金力と現在の年俸水準を考えれば、メッツは選手を獲得できる余地を積極的に活用していることが分かる。

 これに対し、大リーグ球団の中でも比較的潤沢な予算を持っていたレッドソックスやカブスの動きは消極的だ。

 投資会社の経営から引退し、現在はプロスポーツ球団とメディアの経営を中心とするレッドソックスのジョン・ヘンリーも、投資家をなりわいとするカブスのリケッツ家も、本業の打撃は深刻とはされていない。

 また、経常費の見直しを行っているものの、削減の対象は球団職員やスカウトの一時帰休などで、選手年俸には手を付けていない。


 ただし、両球団は2019年に年俸総額が規定額を超えたことで課徴金を支払っており、新たな負担を避けたいのが本音だ。そのため新規の大物選手獲得は優先度が低い。

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