ロッテ監督就任直後に打撃ケージで落合さんと交わした昔話
2010年、ロッテの監督1年目でシーズン3位からCSを勝ち上がり、落合博満さん率いる中日との日本シリーズを戦った。相手が中日と決まったときは、少し感慨深い気持ちになった。
その年のオープン戦でナゴヤドームへ遠征したとき、落合さんのところへ挨拶に行った。「おう、どうや」という感じで迎えてくれ、打撃ケージの後ろで30分ほど、野球の話やロッテ時代の昔話をさせてもらった。報道陣から、「落合監督があんな長話するなんて、珍しいですよ」と驚かれた。
現役時代の当時の川崎球場は室内練習場が狭く、打席は2カ所しかなかった。落合さんが打ち始めると、2時間は出てこないこともザラだった。私のような若手が室内に入れない雰囲気があった。打撃練習はひとりで黙々とやりたい気持ちもあったから、グラウンドのベンチ前でひとり、黙々とバットを振っていたことを思い出した。監督になったことを喜んでくれた落合さんといつか、日本シリーズで戦える日が来ればと思っていたが、いきなりそのチャンスがやってきたのである。
開幕前日にナゴヤドームで行われた監督会議。2005年のロッテヘッドコーチ時代、阪神との日本シリーズでボビー・バレンタイン監督らと会議に参加したことはあったが、監督としては初めてのこと。監督として3度目のシリーズ出場の落合さんに対し、ただ話を聞くだけという感じだったけれど、落合さんはNPB(日本野球機構)にさまざまな質問を投げかけた。そのひとつが「7試合全てを引き分けたらどうするのか」というものだった。