落合監督のドライな思考 私の後任はとっくに決まっていた
2006年の日本シリーズで日本ハムに敗れ、翌日に空路で札幌から名古屋に戻ると、すぐに球団事務所に呼び出された。とりあえず、リーグ優勝は果たした。少しは年俸が上がるかも……。そんな淡い期待を抱きながら部屋をノックすると、神妙な面持ちの伊藤一正球団代表にこう通告された。
「お疲れさまでした。2年契約満了です。更新はしません」
「え……」
私は絶句した。まさかのことで、すぐには受け入れられなかった。
「リーグ優勝したわけですし、来年こそ日本一だと思っていたので残念です。どうしてですか? 何か問題がありましたか?」
いくら聞いても「契約なので」の一点張り。落合博満監督からは一言もなかった。
後任の捕手コーチは田村藤夫さんだという。そういえば、頻繁に球場で見かけるようになっていた。私が就任する際も、前々年の12月に非公式の話があり、前年6月に落合監督に正式に打診された。リーグ優勝したとか、しないとかはあまり関係はなく、ずっと前に決まっていたということだ。