1日に1000以上のスイングで指が固まり手が開かなくなった
■名伯楽の褒め言葉
そんな私に付きっ切りで指導をしてくれたのが、当時の打撃コーチだった高畠導宏さんだ。
「名伯楽」と呼ばれた高畠さんは、選手を褒めて伸ばすコーチだった。
秋は実戦がなく、自分自身がレベルアップしているかどうか、客観的に見ることができない。ただ打つだけの日々を繰り返していると、精神的にも疲れてくる。特訓開始から1週間ほどして、「なんで俺だけが……」と投げやりな気持ちが芽生えてきた。
ちょうど、そのタイミングだった。
「西村、いい感じで打ててるじゃないか。1週間でこれだけ上達するなんて、すごいことだぞ」
それまで黙々と練習に付き添ってくれていた高畠さんが夜の特打を終えた後、初めて私を褒めてくれたのだ。