結婚式の仲人を稲尾和久さんが紹介してくれた顛末
■「知り合いを当たってみる」
そんな稲尾さんは、気遣いを欠かさない人だった。西鉄時代から福岡にゆかりのあることもあって、開幕前には毎年必ず、私の自宅へ水炊き鍋のセットを送ってくれた。
プロ4年目を終えた1986年1月、妻の地元である鹿児島で結婚式を挙げた。宮崎出身の私としても、地元の家族や親戚、知人、友人を招待しやすかった。式場はキャンプ宿舎でもあるサンロイヤルホテルに決めた。
監督である稲尾さんに仲人をと思い、結婚の報告をするとともに、「ぜひとも、仲人をお願いできますでしょうか」と伝えた。
ただ、稲尾さんは申し訳なさそうに「式には喜んで出席させてもらうけど、選手の仲人はこれまで一度もやったことがないんだよ」と言う。
普通ならそれで話が終わるところだろうが、稲尾さんは、「代わりと言っちゃなんだが、俺の方で鹿児島の知り合いを当たってみる」と、わざわざ地元テレビ局の南日本放送の社長を紹介してくれたのだ。