海外プレス入国申請コピペ証拠入手 丸川大臣ドヤ顔否定
「コピペが出回っている実態はない」――。ドヤ顔に早くも泥だ。
東京五輪の海外選手や大会関係者の入国管理は原則「14日間隔離」。それを有名無実化するのが大会組織委員会のコピペ奨励だ。入国希望者に提出を義務づける活動計画書は「特別な理由」があれば「隔離0日」に短縮可能で、その申請書が特別な理由の書き方まで丁寧に例示されている。
当然、解答例を書き写す事態も起こり得る。9日の衆院文科委員会で立憲民主党の斉木武志議員にこの疑念を問われ、冒頭のようにイキがって断言したのは丸川五輪相だ。すると、翌日に組織委関係者が「丸川さんは何も分かっていない」と斉木議員に内部告発。海外の大手通信社が提出した申請書が送られてきたという。そこにはコピペの痕跡がバッチリだ。
■ザル管理の証拠
日刊ゲンダイが斉木議員から提供を受けたのは、英ロイターと中国の新華社が申請したとされる書面だ。両社とも「隔離0日」を求める「特別な理由」として英文でこう記す。
〈到着後すぐに競技運営に携わる予定となっている。入国後すぐに活動を始める必要があり、不在の場合、運営に重大な支障を来す〉――申請書が英文で例示する模範解答と一言一句、変わらない。
世界屈指の通信社がコピペ申請とは驚愕だ。しかも記者の入国が遅れても〈運営に重大な支障〉は来さないから「特別な理由」にならない。新華社は記者14人分、ロイターは16人分を一括申請。ロイターはシンガポール4人、タイ2人、韓国2人、米国、英国、アイルランド、ドイツ、スウェーデン、中国、香港、ニュージーランド各1人と世界各国から記者を派遣する予定だ。
奨励に従って締め出されたら国際問題に
こんな穴だらけの入国管理なら、丸川答弁は嘘八百だ。組織委に聞くと「隔離を行えない理由については、さまざまな理由が提出されているところであり、現時点ではあくまで精査中」(戦略広報課)と回答。内閣官房オリパラ推進本部事務局の担当者は「(入手した)申請書が準備段階か、最終提出されたものかが分からない。何とも回答しかねる」と前置きした上で、こう言った。
「仮にコピペされたものが来たら却下します。丸川大臣の答弁は『コピペして入国が認められたケースはない』との意味で答えたものです」
シレッと丸川答弁を糊塗してまで強気の姿勢を崩さないが、コピペ奨励に従った途端、申請をはねつけられたら海外プレスも黙っちゃいない。五輪開幕までに入国手続きが間に合わなければ一大事で、特に新華社は中国共産党直轄の国営メディア。五輪取材から事実上締め出せば外交問題となりかねない。
丸川大臣にその覚悟がなければ偽りのドヤ顔だ。