「うまい!」と絶賛の五輪選手村メシ 福島県産拒絶の韓国も驚く厳しい食材提供基準
■福島県産食材への影響
選手村の食事への反応は、国によって異なります。
韓国は2011年の福島第一原発事故の影響による福島県産食材への安全性懸念から、独自に給食センターを設置しています。しかし、現在、市場に流通する福島県の農畜産物からは放射性物質は検出されておらず、安全性は確保されています。今回の東京五輪は「復興五輪」と銘打たれ、この10年、事故後の風評と闘ってきた福島をはじめとする東北各県の農家にとって、韓国のこうした行為は非常に残念なことだと思います。
そのため、韓国の姿勢は風評を助長していると批判の声が上がっています。ただ、アメリカ選手団も選手団の食事嗜好に配慮するため、自国食材32トンを持ち込み選手に提供をしているように、こうした話はよくあることです。日本選手団もリオ、ロンドン五輪の際、日本人シェフを同行させています。
舞台裏でさまざまな出来事がある中で、選手村の食事はおおむね好評だったようです。安全性だけでなく、バラエティー豊富な食事が提供できているのは日本ならで、外国人選手のインスタグラムなどからは、餃子や春巻き、ラーメン、カレーライス、寿司など多くの料理に絶賛の声を上がっており、世界に日本の食材、料理がいい意味で発信されたイベントになったのではないでしょうか。
(取材・文=常本泰志/米流通評論家)