日本ハム中田翔の行き着く先は海外逃避…栗山監督「このチームでは難しい」発言で退団不可避
放出は避けられそうにない。
日本ハムの中田翔(32)が後輩投手への暴行事件で無期限謹慎処分となったことを受け、栗山英樹監督(60)は先日、「正直、このチームでは難しいかなっていうのは思っている」と発言。今季中の試合欠場はおろか、退団の可能性すら示唆したのだ。
この発言には、親会社や球団の意向が含まれているとみるべき。栗山監督は中田の復帰について、「ゼロではない」としつつも、「判断するのは球団」と言っている。中田の暴行事件をあえて公表した川村浩二球団社長は、「暴力はいかなる社会であれ、決して許されるものではありません」と頭を下げた。中田と電話で話し合ったという栗山監督は「彼の人生にとって野球をやるべき」と強調。中田は今後、謝罪会見を開くというが、中田の処遇は現場で判断できるレベルの話ではない。
4月7日のソフトバンク戦では三振直後にベンチ内でバットを破壊、ベンチ裏で転倒して右目付近に青あざをつくり、途中交代した上に翌日の試合も欠場した。プライベートでは夜な夜な後輩を連れ回すことも。2019年から3年総額10億円をもらう看板選手にもかかわらず、かねて素行が問題視され、今季で3年契約も満了する。親会社や球団が今回の暴行事件を「中田切り」の決定打と判断した可能性は十分にある。
■手を差し伸べる国内球団はない
そんな中田を巡っては、「補強期限である8月31日までにトレードされる」との指摘もある。果たして救いの手を差し伸べる球団はあるのか。さる球界OBは、「日ハムは個性、自主性を重視し、12球団で最も選手の言動には寛容といっていい。中田はその日ハムから事実上の三くだり半を突き付けられた。獲得に乗り出す球団はおそらくないでしょう」と、こう続ける。
「オリックスには、かつて日ハムでコーチを務め、中田が恩人と慕う福良GMや、お世話になった中嶋監督がいる。中田が17年に国内FA権を取得した際には、自ら当時監督だった福良GMに売り込んだともいわれている。その際に球団からゴーサインが出なかっただけでなく、今は生え抜き中心の育成路線を進め、首位を快走している。中田取りは編成方針に合わない。かつて近鉄、オリックスを率いた仰木彬さんや中日、阪神、楽天監督を歴任した星野仙一さんのように『男気』があって、中田のようなヤンチャくれをコントロールできそうな監督も見当たりません」
渡米してもメジャー契約は困難、マイナー契約なら…
国内の独立リーグなら、話題づくりの一環で手を挙げる球団があるかもしれないが、ある米球界関係者は「裸一貫、米マイナーや独立リーグの厳しい環境に身を置き、再起を図るのも手。日ハムはレンジャーズと業務提携するなど米球界とパイプがあり、道筋くらいはつくってくれるのではないか」と、こう続ける。
「米国と日本とでは、今回の中田の一件の捉え方が違う。米国はDVや薬物(主にドーピング)といった犯罪、不正行為や人種差別には厳罰が科され、19年にはヤンキースで18勝を挙げたヘルマンがDVにより81試合の出場停止処分を受けています。中田は相手にケガを負わせているようですが、米国はアジア諸国とは違い、先輩後輩の概念はなく、犯罪が絡んでいなければ『友達同士のケンカ』という受け止め方をする球団もある」
この関係者によれば、むしろレッドソックスの澤村や、前ブルージェイズの山口(巨人)のように、酒に酔っての暴行、器物破損の方が問題児扱いされるという。
「米国は酒に対する規制が厳しい。16歳で車に乗れ、18歳で銃を所持できますが、飲酒は21歳からで、公共の場での飲酒を禁じる州もあります。酔余の暴行はもってのほか。メジャー球団の中には、澤村や山口の『前歴』を嫌った球団もあるようですが、それでも契約してくれる球団がある。中田は今年32歳を迎え、今季は腰痛などもあり、打率.193、4本塁打、13打点と成績もサッパリ。メジャー契約は難しいにせよ、日ハム関係者やエージェントがプッシュすれば、招待選手としてスプリングトレーニングに参加できるし、マイナー契約は結べるかもしれない。米国の独立リーグはさらにハードルが低くなります」(前出の関係者)
かつて、不祥事で日本を追われた選手が、米マイナーで活路を見いだそうと努力する姿勢を買われて、プロ野球界に復帰したケースもあるにはある。中田のセカンドチャンスは、海の向こうにあるのかもしれない。