プロレスラー船木誠勝さんが語るヒクソン・グレイシーとの死闘「腕を外そうとするうちに気が遠くなり…」

公開日: 更新日:

 僕が上から顔にパンチを2発入れ、ヒクソンの顔面がバウンドする感触があり、「しっかり入った」と思いました。あとで聞いたらヒクソンは眼窩底骨折をして、しかも骨折していない方の目もしばらく見えなくなったそうです。今思えばあの瞬間が勝機でした。

 ヒクソンが立った後、僕の大振りのパンチが当たらず、首相撲から膝蹴りをもらい、引き落としで前向きに倒され、結局はマウントポジションをとられ、上からパンチを入れられ続けました。しかも僕の片手をロックした形なので外せない。予想外の展開ばかりで。

 もう少し我慢すれば1ラウンドが終わると思って「あと何分?」と顔だけセコンドに傾けて聞いた瞬間、スルリと背後をとられてチョークスリーパー(裸絞め)。今まで感じたことのない力で首を絞められて。ギブアップはしないと決めていたけど、息もできない。ヒクソンの腕を外そうとするうちに気が遠くなり、視界が薄く、白くなっていく感じ。そして真っ暗になる……。落ちた瞬間ですね。

 意識が戻る時は逆に黒からモヤがかかったボケた視界になり、だんだんはっきりしてくる。「はっ!」と気づいたら、グレイシー一族がリング上に大勢いて盛り上がってる。「こりゃ負けたんだな」と気づきました。どのくらい意識がなかったのかわからないので、後ろにいた鈴木みのるになぜか「今、何時?」と聞いたんですよ。それが蘇生して第一声。ビデオで見ると、記憶がない間も立っていたので、ビックリしました。とにかくヒクソンは勝つための戦法がすごかった。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動