藤浪&中田翔が“MVP級”アピールでキャンプ終了 ガケっぷち2人を評価した両指揮官の腹の中
阪神と巨人のガケっぷちコンビが目立っている。
2月28日に春季キャンプを打ち上げた阪神では、今季限りでの退任を表明している矢野燿大監督(53)が「MVP? ずっと安定していたのは晋太郎(藤浪=27)。ブルペンを見ていても自信になっている。今年はこれでいくんだというのがありながら、自分が投げたボールに納得がいくというのは例年以上。高いところで安定したところが続いている」と称えた。
節目の10年目を迎え、「先発をやりたい。そのエゴを通せないようなら結局、中継ぎでも中途半端になる」と意気込んで臨んだ今キャンプは、実戦4試合で10回を投げて2失点、防御率1.80。27日のヤクルト戦も2回1安打無失点の快投で2年連続キャンプMVPに選ばれた。「バランス良く投げられた。アピールできて良かった。評価していただいた点でもいいキャンプだった」と納得の表情である。
■逆転V逸の要因となった乱調
ただ、ここまでは昨季と同じ。2021年も「キャンプMVP」に選ばれ、プロ9年目で初めて開幕投手を務めたものの、なかなか状態が上がらず、4月下旬に二軍落ちした。
6月に一軍復帰後は中継ぎとなり、9月9日のヤクルト戦を最後に一軍登板はなし。21試合に登板して3勝3敗、防御率5.21に終わった。
「早めに仕上げて開幕早々にガス欠を起こすパターン。昨年、阪神が首位を快走していた6月23日の中日戦で2-2の七回にリリーフ。3分の2回を2安打3四球で4失点の独り相撲で、痛い黒星を喫したことで『なぜ大事な同点の場面で藤浪を投げさせた?』という不満がチーム内に充満。その後、ヤクルトの猛追を許し、V逸へ転がり落ちた分岐点となる試合とされています。矢野監督もあの試合で懲りている。今は『MVP』と持ち上げていても、藤浪を心底信用することはないだろうし、戦力としてアテにすることもないでしょう。『もし良ければ儲けもの』程度にしか見ていないはずです」(在阪テレビ局関係者)
新助っ人の準備ができるまで
巨人の中田翔(32)も目立った。
日本ハムで起こした暴行問題により、昨年8月にトレード移籍後は、打率.154、3本塁打、7打点の不本意な成績に終わった。背水のシーズンを迎えるにあたり、体重を20キロ増量し、「自信しかない」と112キロでキャンプイン。実戦5試合全てで安打を放ち、11打数5安打、打率.455と“MVP級”に打ちまくった。
「懸けるものが見える」と言っていた原辰徳監督(63)も「本当にいい形でキャンプ地を後にできる」と目を細めている。
ただ、昨季はヘルニアを発症して離脱しているだけに、飛ばし過ぎを懸念する声もある。
「腰痛持ちだし、最後まで持たないかもしれないが、原監督はそこまで織り込み済み。まだ入国できていない新外国人選手が開幕に間に合わない可能性がある。一塁は中田でいけるところまでいって、外野が本職のポランコ、ウォーカー、もしくはウィーラーのいずれかを一塁へ回す構想がある。2年前のパの打点王とはいえ、満身創痍の中田に1年を通じた活躍を期待はしても、計算するほど原監督は甘くない。助っ人の準備が整うまで穴埋めをしてくれれば、という立ち位置を中田が結果を出し続けることで覆さないといけない」(巨人OB)
後がないガケっぷちコンビは、まずはアピールに成功したものの、指揮官の見立てを超える戦力になるかは未知数である。