<26>講演会の“テッパン”ネタはメダルとトップ選手と橋本聖子さん
グラミー賞の表彰式に、ビデオメッセージ出演したウクライナのゼレンスキー大統領。世界各国の国会や議会で演説をした際には、その国の歴史や文化に触れ、支援を訴えていた。
私も演説ではないが、現役を引退してから全国各地から講演会に呼んでいただき、壇上に立つ機会が多くある。まずはオファー先がどんな会社なのか、どんな学校なのかをリサーチ。いただいた資料を読み、気になることがあれば担当者に確認する。
参加する社員や学生の年齢層もチェック。ある程度は共感できないと、話の内容は入ってこないもの。なるべく相手に合わせて話のスタイルを変えるようにしている。年配の方が中心であれば私のこともそれなりに知っている場合が多いが、若い子が多いと知らないケースもある。ましてや小中学生相手では、私の幼少期の話をされても「?」だろう。だから、まずはメダルをお披露目。そして、分かりやすく、簡単な言葉で話すようにしている。
東日本大震災の2年後、岩手・陸前高田の近くにある中学校へ講演に行った際は、子供たちが大変な経験をしたことに胸が苦しくなった。それでも、スポーツの強い学校ということもあり、「つらく悲しいという気持ちも大事。その思いを忘れず、前を向いて次につなげてほしい」と伝えたのを覚えている。