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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

テニス選手がラケットを「虐待」する深層 全仏OP女子で客席の子供をかすめる“事件”

公開日: 更新日:

 女子テニスの先達でサフィンのファンだった宮城黎子さんは「よく折れると思って」と驚いていたが、カーボンの出現でラケットは折れにくくなった。むしろ、折れにくいからこそ“虐待”は始まったということになる。

 2年前の全米では、ジョコビッチが叩きつけたボールが線審に当たり即刻退場処分になった。審判はいわば身内だから、客席への虐待の方が重罪だろうが、今回は警告と罰金1万ドルだけ。まさか、相手がロシアだったから……。

 見ていて愉快な人は一人もいない。もっと厳しくしていい。85年当時に5誌あったテニス月刊誌は、いまや辛うじて1誌。ぶんぶんベッカーは破産時の資産隠しで刑務所の中だし、パリの宿を予約してくれたNさんは今大会中に亡くなった。時は速く流れている。

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