ヤクルト村上宗隆が全盛期の松井秀喜を凌駕する部分 ゴジラ以来20年ぶり「日本人50号」
首位のヤクルトを猛追していた2位のDeNAが打ち砕かれた。先の首位攻防戦で3連敗。ヤクルトの主砲・村上宗隆(22)ひとりにやられたと言っていい。
その3試合で11打数9安打4本塁打9打点。特に3戦目の七回に放った決勝の49号に村上の凄さが凝縮されていた。
前3打席はいずれも四球で歩かされていた。4-4の同点で迎えた第4打席。カウント1ボール2ストライクとなった4球目の外角へのスライダーは、ストライクと言われてもおかしくない球だった。これをピクリともせず見送った村上はフルカウントからの8球目、エスコバーの154キロのツーシームを右中間スタンドに突き刺した。
ここまで、四球数は12球団で断トツの101(2位は楽天・浅村の72)。特に最近は、投手がまともに勝負をしてこない。打ち気にはやっておかしくない状況に置かれながら、まったく動じず、ボール球にはまず手を出さない。
そこが凄い。ヒットもホームランも四球も、チームに貢献するという意味では同じ。押しも押されもせぬ4番になって、オレがオレがとある種のエゴが許される立場になっても、その信念が揺るがない。
プロ野球では、試合後のヒーローインタビューに呼ばれた選手が決まって、「チームに貢献することだけを考えた」などと口にする。
いかにもテンプレートで、私などは「またツマランことを言って……」と興ざめしてしまうのだが、村上がそう言うと素直に腑に落ちる。彼が建前で言っているのではないことが、四球を良しとする打席や、ベンチの最前列で誰よりも大きな声を出して味方を鼓舞する姿を見れば分かるからだ。