日本ハム新庄監督“電撃辞任”に3本の導火線「続投わからない」はリップサービスにあらず?
新庄監督に一般人の言う「常識」は通じない
②近藤の引き留めは難航間違いなし
「若手と対照的に結果を出し続けていて、今季で年俸変動制の3年契約が切れる近藤健介(29)の動向も、新庄監督の去就に絡んできそうです」(球団OB)
昨季まで5年連続で出塁率4割超。推定年俸2億5500万円の今季は93試合に出場し、打率.300、7本塁打、出塁率.414と、安定のパフォーマンスを発揮している。
新庄監督も近藤の扱いは他の選手と一線を画しており、オープン戦で「一日監督」を任せていたし、5月に脇腹痛で離脱した際は「きびしんじょう……」と、勝利にこだわらないはずなのに、珍しく弱音を漏らしたほどだった。前出のOBが言う。
「来季に懸ける新庄監督にとって、近藤は必要不可欠な存在です。日本ハムはこれまでパフォーマンスが頂点に達して下り坂に差し掛かった高年俸の選手をアッサリ放出してきましたが、新球場元年を控える今オフは別。近藤はファンの人気もあるし、チームの精神的支柱でもあるので、引き留めに全力を注ぐつもりだと聞く。今回ばかりは金に糸目をつけずに大型契約を提示するともっぱらです。とはいえ、『出ていかない』と断言できる要素がないのが現状。交渉が難航するのは間違いないでしょう。仮に引き留めに失敗すれば、『2位も6位も同じ』と言う新庄監督がサジを投げてしまう可能性は十分にある」
③フロント主導のコーチ人事も火種
戦力増強に加えて、コーチ人事にも火種はある。
「日本ハムはコーチ人事もフロント主導です。いまのスタッフで新庄監督の意向が反映されたのは林ヘッドと山田バッテリーコーチですが、山田コーチは捕手の面倒も見ていた高橋信二打撃コーチがオリックスに移籍してバッテリー部門が空席になったために新庄監督の意を汲んだもの。林ヘッドはそもそも日本ハムの九州地区担当スカウトで配置転換です。今月中にも来季スタッフを検討する会議があると聞きましたが、新庄監督がフロント主導の人事に納得いかなければひと悶着あるかもしれません」(別のOB)
そもそも、新庄監督に一般人の言う「常識」は通じない。さかのぼると、現役の阪神時代にFA権を取得した2000年オフ、球団から提示された「5年12億円」を蹴って、年俸2200万円のメジャー挑戦を選んでいる。06年オフの引退後は球界から距離を置き、バリ島に拠点を移して“自由人”を謳歌。と思ったら48歳でイチから体を鍛え直し、20年の12球団合同トライアウトを受験するなど、型破りな実績を枚挙にいとまがないほど積み上げてきた。
ただでさえ単年契約。新庄監督にとって、退任の選択は世間が思うよりもずっとハードルが低いはずだ。球界の台風の目となっている新庄監督の進路は誰にも予測できない。