五輪汚職で新展開か? スポンサー不正とは別ルートの“森利権”に東京地検特捜部が熱視線
森元会長の暗躍を示す「物証」も
再開発をめぐっては、これまでも森元会長の名前が取り沙汰されてきた。東京五輪招致決定の2年前の2011年、森元会長が最高顧問だった「ラグビーワールドカップ2019日本大会成功議員連盟」が、旧国立競技場の改築と神宮外苑地区の再開発を決議。翌12年には新国立競技場の建設が決定した。13年には、東京都が神宮地区の建物の高さ制限を15メートルから最大80メートルに緩和。結果、森元会長がかつて会長を務めた日本体育協会などが入居する高層ビルの建設が可能となったのだ。
「森氏は、五輪招致にかこつけて国立競技場の改築を進め、巨大な再開発利権を手中に収めることを狙った」(建設業界関係者)ともっぱらだ。
実際、森元会長の暗躍を示す「物証」もある。この問題を都議会で追及した共産党が18年に入手した都の文書には、12年5月に森元会長と当時の副知事の生々しいやりとりが記されている。森元会長が〈もしこっち(オリンピック招致)が×になったらどうする?〉と聞くと、副知事が〈神宮外苑全体の再整備は進める〉と明言。すると森元会長は〈すばらしいよ。あと15年は長生きしないと〉と大喜び。森元会長が再開発に強いこだわりを持っていた様子がうかがえる。
特捜部は“森利権”に切り込むのか。元東京地検特捜部検事で弁護士の郷原信郎氏はこう言う。
「今回、特捜部はガサ入れ先行で証拠を押さえ、慎重に捜査を進めている印象です。AOKIのみならず、他のスポンサー企業からの受託収賄事件についても立件・起訴を着実に進めていくでしょう。その過程で、企業側が捜査に協力すれば、追い込まれるのは高橋氏です。実刑判決を受けかねない現実に直面したら、高橋氏は洗いざらい供述するのではないか。そうなれば、捜査の手が政界に向かうことも考えられる。神宮外苑の再開発問題に捜査が及んでも不思議ではありません」
森元会長に連なる政界関係者も、今頃戦々恐々としているに違いない。