聞こえるような大声で…子供をホメちぎる親を見ると不安になる
「ガキの頃から甘やかされてきたのが圧倒的に多いからさ。何から何まで親が面倒をみて……要するに猫かわいがりというか、平たく言えば親バカだな。そうやって過保護に育った選手は、生き馬の目を抜くこの世界じゃ苦労するさ。むしろ親に突き放されてきた選手の方が期待できるような気がする」
部長が「例えばだな……」と引き合いに出したのは長年、ウチの内野のレギュラーを務めた高卒選手の父親のこと。入団発表の直後の食事会で、部長がその父親に「たまには息子さんの試合を見に来てください」と水を向けると、こう答えたという。
■煮て食おうと焼いて食おうと
「試合といっても、どうせ二軍でしょ? 一軍の試合ならまだしも、なんだって、わざわざ二軍戦を見に行かなきゃならないんですか。せがれをお宅に預ける以上、煮て食おうと焼いて食おうと構いません。その結果、戦力になって一軍でプレーするようになったら見学に行きますよ。わたしも商売をやってますし、暇じゃありませんから」
そんな話を聞いているうちに、ふと、食事会の席で子供の自慢をした父親の姿が頭に浮んだ。くだんの父親はあのとき、離れた席にいた部長から「いやー、実は我々、息子さんのことは期待しているんですよ」と声を掛けられたから、得意になって話を始めたんじゃなかったか。部長はひょっとして、父親の反応を見たくてカマをかけたんじゃないか。
部長に確かめると「当然だ」と一言。いい人なんだけど、ホント、性格悪いよね(苦笑)。
(プロ野球覆面スカウト)