ドラフト指名後に選手のマイナスの性格が分かって、引っ繰り返りそうになることもある
2、3年前のこと。オレが担当する関東の大学生左腕をドラフトで上位指名、部長と大学へ挨拶に行ったときの話だ。
球団側はオレとスカウト部長の2人。野球部監督も交えてざっくばらんな雰囲気の中、スカウト部長が、
「キミには上位指名に値するだけの実力があるんだ。ウチの監督以下の首脳陣も、かなり期待しているよ」
と、左腕に声を掛けた。
フツーなら「上位指名の期待を裏切らないように精いっぱい頑張りたいです」とか、「即戦力という評価だと思いますので、チームの勝利に貢献できるように力を発揮するつもりです」などと答えるところだ。
ところが、まったくといっていいほど覇気は感じられないし、かといってふてくされているふうでもない。ボケッとしているというか、
「ええ、まあ……」
なんて生返事を繰り返している。業を煮やした部長が、プロに入ってからの課題をどんなふうに考えてる? 投げるときに体の開きが少し早い気がするけど? と水を向けても、「それは、その日の調子によるので。監督やコーチに修正されないかですか? いや、特には。疲れていれば、そういうこともあるかもしれませんから」。