TKホールディングスCEO 土屋健二(3)野球とビジネスに生きたダルビッシュの衝撃
TKホールディングスCEO 土屋健二(32歳・日本ハム→DeNA)
知人が立ち上げた保険代理店に就職し、完全歩合制の営業マンとして第一歩を踏み出した土屋氏。「人脈づくりは、現役時代からやっていたことがある」と、こう話す。
「2015年は、戦力外を告げられるだろうと分かっていました。現役選手だからこそ、つくれる人脈もある。落ち目といえど、現役選手と元プロ野球選手とでは天と地ほど、ブランドに差があります。野球をやりながら六本木のクラブなど、いろんなところに顔を出した。ママさんたちにも各業界の社長に自分を売り込んでもらうように頼んだり。縁ができた社長には『何をしたらお金を稼げますか』『今年でクビになると思うので』って、積極的に聞いていました」
現役終盤の一部をセカンドキャリアにつなげるための投資に充てたが、野球にも最後まで真剣に向き合った。プロ2年目の出会いが、土屋氏を駆り立てていたからだ。
「ダルビッシュさんの投球を見たとき、心の底から、勝てないだろうと思った。トップはこんな人たちなんだなって。同時に、僕のせいで挫折して野球をやめていった人がたくさんいるだろうなと気付いたんです。『アイツがいるから投手をやめる』みたいな。そんな人たちのためにも、一日一日を大切にして野球をしなきゃいけない。
僕はダルビッシュさんと同じ結果は出せなくても、同じような練習や心がけ、取り組みはできる。時間を無駄にできないから、練習方法を巡って首脳陣と対立したこともありました。野球は一切手を抜かず、後悔ないくらいにやりきった。だからセカンドキャリアにも全力を注げているのだと思います」