侍J栗山監督がメジャー選手の合流時期に苦悩吐露…WBCは“大谷と心中”の危険度
大谷の投打二刀流で外野手にしわ寄せ
「そもそも選手選考からして、大谷ありきになっていますから」とは、さる球界OB。
「主催者は各参加国に対し、30人の代表メンバーのうち、投手を14人以上登録することを義務付けている。しかし栗山監督は今回、投手を15人選出する予定。つまり、投打二刀流でプレーする大谷の負担を配慮した格好です。これによってしわ寄せを食うのが野手。外野手は吉田正尚(29=レッドソックス)、ヌートバー(25=カージナルス)、鈴木誠也(28=カブス)、近藤健介(29=ソフトバンク)の実質4人だけ。内外野を兼務する周東佑京(26=ソフトバンク)がいるとはいえ、代走の切り札ですから、起用は勝負どころに限られる。外野から1人でも故障者が出たら、大変なことになります。そうなったらそうなったで、栗山監督は、万が一の時は外野経験のある大谷を使えばいいと考えているのかもしれません」
その栗山監督はこの日、最終メンバー発表を直前に控えたこの期に及んで、「迷ってます。本当はもっと引っ張りたい。でも、キャンプに入ってからというわけにはいかないだろうし」と口にすると、今季メッツへ移籍した千賀滉大(29)を米国ラウンドから招集する可能性すら示唆。1次ラウンド後と準々決勝後にそれぞれ、2人ずつのメンバー変更が可能とあって、「イメージとしては50人ぐらいの枠で、今日のベンチ入りは30人みたいな」などと話した。これも、メジャーの開幕が近づく米国ラウンドに入って、大谷の起用に縛りが生じる可能性を念頭に置いたものだともっぱらだ。
名球会員の評論家・山崎裕之氏は「代表監督としてチームを預かる以上、勝ちたい、いい選手を集めたい、という気持ちはよくわかる」とした上で、こう続ける。
■あくまで主力の一人
「そうはいっても、『大谷ありき』という考えには賛同できません。ただでさえ大谷に対するファンやメディアの期待は大きい。これ以上、負担をかけすぎるのはよくない。大谷はあくまで投手、野手の主力の一人でしかない。起用に制約がかかる可能性が高いわけだし、ケガを防ぐために無理を強いるわけにもいかない。そもそも野球は団体競技。大谷一人で勝てるわけではないのですから。合流時期にしても、大谷やダルビッシュらメジャーで実績のある選手たちは、たとえ3月6日からしか試合に出られなかったとしても、きちんと米国で体を仕上げてくるはず。栗山監督もどっしり構えて、本人たちに調整を任せておけばいいのです」
山崎氏は大会期間中の千賀招集やメンバー変更についても、こう語る。
「故障者が出たり、開幕後に一向に調子が上がってこない選手がいたりすれば、途中変更は検討すべきでしょう。仮に千賀が決勝ラウンドからでもメンバーに加われば、間違いなく戦力になる。ただ、ともに東京ラウンドを戦った選手を米国ラウンド前にお役御免とすれば、軋轢が生じかねない。変更する際に大事なことは、単に目先の戦力だけを考えるのではなく、全員の選手がきちんと納得できるかどうか。各選手はチームメートの体の状態や調子のことを理解しているはずですから。いずれにせよ、栗山監督は、特定の選手に期待をかけすぎるのではなく、チーム全体で戦う意識を持って、世界の国々に立ち向かってもらいたい。日本ハム時代から選手のことをしっかり観察、把握してきた栗山監督なら、それができるはずです」
大谷と心中なんて、本人のためにもチームのためにもプラスにならない。