株式会社GSL社長 小野剛(1)工藤公康氏の言葉で火が付いた! 巨人退団後にイタリアへ
大学卒業直後に結婚した妻と生後間もない息子をイタリアに呼び寄せることを決めると、大富豪の跡取り息子だというチームメートがサンマリノ中心街のマンションを無料で貸してくれた。
「英語を話せる妻には通訳代わりにもなってもらいました。そのおかげで同僚とは一層仲良くなり、旅行もした。ガイド本に載っていないような裏路地を探索したりと、地元民視点の旅は忘れられません」
■中田英寿との邂逅
イタリアでは思いがけない出会いがあった。当時、セリエA・パルマに所属していたサッカー界のレジェンド中田英寿氏である。イタリアで身を立てるアスリートの先輩として、同氏がファンに向けて運営していたウェブサイトから連絡を送ったことがきっかけだった。
「中田さんが僕のメッセージに目を通してくれたんです。まず、中田さんのマネジャーさんとつながり、妻子も含めて試合に招待してもらった。観戦後に出待ちしてお礼を伝えたら、『ご飯でもどう?』って。食事の席で、工藤さんの誕生日プレゼント用のワインについてアドバイスをもらおうとすると、『ワインセラーの蔵を買い取ったから、オレがチョイスするよ。住所だけ教えて』とまで言ってくれて。本当に格好良かった。会話の中で忘れられないことがある。中田さんは『サッカー以外にやりたいことが見つかれば、そちらにチャレンジする』と話していた。超一流なのに、そんな生き方もあるんだなって。これは引退後の生活に相当影響しました。僕はどう生きようかと」