栗山監督のWBC“大谷リアル二刀流”構想が吹き飛ぶこれだけの根拠 エ軍GMは「制限なし」発言
エンゼルスのフロントは、とりあえず寛大な姿勢を見せている。
日本時間5日、本拠地エンゼルスタジアムで日米の報道陣に対応したペリー・ミナシアンGMは、投打の二刀流での出場が期待される3月開幕のWBCでの大谷翔平(28)の起用に関して「どうプレーするか何の制限も設けない」と話した。
すでにキャンプ地のアリゾナ州テンピでトレーニングを始めている大谷は今月17~27日に行われる日本代表合宿には合流せず、16日から始まるバッテリー組のキャンプに参加予定。同GMによれば、26日から始まるオープン戦に1試合登板し、「ショウヘイはおそらく3月1日(日本時間2日)に日本へ出発する」という。
■先発は2試合が上限
3大会ぶりの優勝を目指す侍ジャパンにとっては、言うまでもなく大谷の二刀流での活躍は不可欠。すでに栗山英樹監督は「本人の体の状態と相談になるが」と前置きしながらも「目いっぱいいきたい」「(先発だけでなく)抑えという考えもゼロじゃない」と発言。基本的に全試合DH、なおかつ先発もと、リアル二刀流での起用すらほのめかしているという。
とはいえ、栗山監督が二刀流をフル活用できるとは思えない。エ軍が定める登板試合数や球数、打席数があるからだ。
2018年の入団以来、エ軍首脳陣はキャンプ、オープン戦での大谷の起用法には細心の注意を払ってきた。
打者としては十分な出場機会を与える。右肘の靱帯を修復するトミー・ジョン手術明けの19年、コロナ禍の20年を除けば、少なくとも30打席以上は確保してきた。実戦での投球に早く対応させるためだ。今季に関してはアリゾナでのオープン戦に加え、WBC本番でバッターボックスに立つ機会は十分あるだけに打席数は問題ないものの、問題は登板試合数や球数だ。
右肘手術から復帰した21年以降、スプリングトレーニングでの登板機会はライブBPなどの実戦形式のマウンドも含めて4試合相当(最長6イニング)、球数にして計215球程度を投げてきた。今回のアリゾナキャンプでは打者を相手に実戦形式で30球程度、オープン戦で50球をめどに登板する見込みだ。つまりWBCで投げられるのは単純計算で135球。大谷は基本的に先発だからWBC本番での登板は2試合が上限になる。