岡田監督がドラ1森下翔太の「英才教育」を決めた瞬間…19年前のトリ(鳥谷敬)とどっちが上?
重なる19年前の鳥谷敬の抜擢起用
「特別プラン」「優先起用」という響きに接すると、岡田監督の第1次政権1年目の2004年を思い出す。そう。こちらも即戦力と期待された自由獲得枠の黄金ルーキー・鳥谷敬だ。
このシーズン、ショートのポジションには藤本敦士がデンと構えていた。前年の星野阪神の18年ぶりのVメンバーで、打率3割をマークした不動のレギュラー。しかし、岡田監督は巨人との開幕戦で鳥谷を「7番・遊撃」で先発出場させた。打てなくても使い続け、早大の後輩でもあることから「えこひいき」なんていう声まで飛び出すほど物議をかもした。
結局、このまま猛烈な逆風を浴び続けてはチームにマイナスになると判断し、開幕6試合目で藤本をスタメンに戻さざるを得なくなった岡田監督。後日、気色ばんでこう吐き捨てたものだ。
「鳥谷のあの話? 当たり前やんか。トリと心中なんてするかいな。オレはタイガースと心中してるんや」
鳥谷への英才教育はすべて未来のタイガースのため。その鋭い眼力通り、鳥谷は翌05年の優勝に大きく貢献し、鉄人ショートとして長く阪神の屋台骨を支えた。
19年前の鳥谷と今年の森下──。岡田監督の目にはどっちが上に映っているのだろうか?
(スポーツライター・長浜喜一)