元プロ野球選手・五十嵐亮太さん 2010年のMLBデビュー「この時が来た! 勝手に足が動いて…」

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五十嵐亮太さん(元プロ野球選手・野球解説者)

 ヤクルト時代はロケットボーイズとしても親しまれ、剛腕リリーフ投手として活躍し、ニューヨーク・メッツなどメジャーリーグ数球団でも活躍した五十嵐亮太さん。帰国後はソフトバンクと古巣ヤクルトに戻り、現役を引退した。WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)では解説、リポートなどでもテレビに引っ張りだこだった。そんな五十嵐さんにとって一番記憶に残る思い出はメジャーデビューの日。話題が途切れないWBCの裏話も一緒に語ってもらった。

  ◇  ◇  ◇

■WBCは台湾プールからアメリカでの優勝まで

 ──WBCを台湾プールから現地で見られていました。

 台湾プールでは、どこの国もいい野球をしていたし、とくにイタリアは「強いな」と感じました。準々決勝は簡単には勝てないと心配していましたが、実際には大差。やはり日本は強いと確信しました。試合ごとに結束も固くなりました。

 アメリカでの2試合はどちらも苦戦。メキシコには吉田選手のホームランまでは抑えられてましたから。その後、リードされてからの劇的な逆転サヨナラ。決勝はさらに劇的で、目の当たりにして興奮しました。

 ──決勝のお話の前にご自身の現役時代で、一番の思い出の試合は何でしょうか

 1つだけ挙げるのは難しいのですが、僕の野球人生で最もターニングポイントになったのはアメリカに渡ったことです。文化や人種の日米の違いを知ることができ、野球の幅を広げてくれた場所。僕は満足いく成績を残せなかったのですが、帰国してからの野球人生に大きく生かせたのでアメリカでの3年間は本当に貴重な体験でした。メジャー、マイナーともに経験しました。好きな野球をやって「大変でした」と言うのは違うかもしれませんが、華やかなメジャーに比べ、マイナーは楽ではなかったですね。

 ──マイナー経験で大変だったことは何ですか。

 日本の野球ファンのみなさんは何十億、何百億円の契約をするトップ選手を見て「メジャーすごいな!」と思われるでしょうけど、そうじゃない選手の方が圧倒的に多いんです。トップクラスの選手はプライベートジェットで移動するけど、マイナーは朝イチに集合して飛行機やバスで移動。大勢いるマイナー選手はメジャーに這い上がろうと必死です。

 だから、もめ事も起きますよ。日本人のように感情をコントロールできないというか(笑)。試合の後に選手同士の言い合いやぶつかり合いは結構多かったです。ブルージェイズのマイナー時代、誰かがチームメートに「何やってんだよ」と一言文句を言って、その言葉に反応して言い返しているうちにケンカになっていく。

■まるでゴリラ対ライオン

 目の前で取っ組み合いが起きたら大変ですよ。マイナーの選手でも体は大きいですから、ゴリラ対ライオン。もう本気でやり合ったら危ない。そういう時、僕は止めに入るタイプ。「ちょっと待て」と。他の選手も後ろから羽交い締めとかにして止めますよ。

 でも、ケンカするくらいメジャーに上がれないストレスがたまるんです。みんな自分の国や地域からそれぞれの事情や葛藤を抱えてアメリカでやっているし、そのくらい厳しい世界で競争しているってことですよね。

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