<52>パリ五輪の新種目「ブレイキン」が示す新しいスポーツの形
私には意外な肩書がある。実は一昨年から「日本ダンススポーツ連盟」の理事を務めているのだ。小学3年生からスケート一筋だが、現役時代から何かとお世話になっていたJOCの現理事の方から「朋ちゃん、ダンススポーツというのがあるんだけど興味ある?」と誘われたことがきっかけで、ダンスの世界に足を踏み入れることになった。
その関係で、今年2月に東京で開催された全日本ブレイキン選手権も観戦した。来年のパリ五輪から新種目として採用されたブレイキン。細かい技やテクニックについてはまだまだ勉強中だが、戦いながらもお互いを尊敬して良いものを出し合い、称え合う雰囲気に引き込まれた。
私がやってきたスピードスケートは「速い者が勝ち」という最もシンプルな競技。ブレイキンのようなダンス競技はそれとは対照的で、どちらかというと採点競技のフィギュアスケートに近い。
パリ大会から五輪競技になるブレイキンをはじめ、2028年のロス五輪で採用が検討されている「SASUKE」など、最近は五輪種目の傾向もだんだん変化しつつある。各競技、極めるところまで行くとハードな練習が待っているが、自分を追い込んでいくよりも、楽しみながらプレーする競技が受け入れられやすいのかもしれない。