男子バレー日本代表エース高橋藍の素顔 ネーションズリーグ無傷の8連勝を牽引
「なんでオレに持ってこない!」
まさに日本バレー界の寵児とも言える高橋は01年京都府出身。日米ハーフの母と日本人の父を持ち、京都で育った。兄の塁は、日大卒業後にVリーグのサントリーサンバーズに入団。日体大時代はインカレで兄と対戦している。妹も高校時代はバレー部に所属していた。
高橋が在籍当時の東山高バレー部監督で、現総監督の豊田充浩教諭は「3年間、彼の担任を務めたこともあるので、よく知っていますよ」と、こう続ける。
「人望があって、ほかのクラブの生徒にも友人は多くいました。高橋の周囲に人が集まってくる感じですね。特筆すべきは、何といっても謙虚なところ。決して横柄にならず、国体で優勝した後(3年時)、教科担当の先生が私のところに来て、『あの子は決してテングにならず、いつも通りにマジメに授業を受けているんです』とベタ褒めでしたからね。勉強も、どの教科もまんべんなく出来ていた。キャプテンとしては背中で見せて引っ張っていくタイプ。うちは朝練はあっても強制はしていませんが、高橋は3年になっても毎日来ていました。そんな姿を部員も見ているので、『高橋がやるなら俺らもやらないと』となる。とにかく『もっと強くなりたい』というストイックさがあり、在学中から女性人気もありましたが、浮つくことはなかった」
インスタグラムのフォロワー134万人と日本代表でもダントツの人気を誇る。「フォロワー数が何人になりました、とか報告されたこともあった(笑)」とは中垣内氏だ。そんな高橋の親友が、同級生の中島健斗さん。東山高時代には副キャプテンを務め、現在は天理大バレー部でプレーする中島さんは「ラン(高橋)は欠点がほとんどないんです」と、こう続ける。
「頭は良く、授業のグループワークでもクラスの中心。サッカー部やバスケ部に負けないくらいの運動神経があって、クラスの中で一目置かれていた。歌もうまいんです。どの曲を歌っても採点で90点オーバー。洋楽も歌詞が分からなくても雰囲気で90点以上。欠点を強いて言うなら……足が臭いくらい(笑)。逆にそれしかイジるところがない(笑)。どれだけ言われても、ランは笑って流していました」
バレーに関しては真剣そのもの。セッターだった中島さんが他の選手に球を上げると、「何でオレに持ってこない!」「オレに回せ!」と言われたという。
「決めないといけない場面、大事なところで決めるのがエースだから、自分に託すべき……というエースの自覚を持っていた。普段の練習でも部員を叱咤していましたが、監督が怒っている時は僕らにも厳しいことは言わない。監督に叱られた後は練習後に『今日は切り替えて遊ぼう!』と言ったり、チームをまとめる上でのバランス感覚もあった」(中島さん)
目指すは24年パリ五輪という高橋。その実現に向け、7月4日からのネーションズリーグ第3週に臨む。