大谷翔平の胸中は…マリナーズはトレード期限で主力放出も“ヒリヒリする9月”で地区首位争い
大谷が日本時間13日、敵地シアトルでのマリナーズ戦のスタメンを外れた。急きょ、先発出場が取り消された前日の試合後にネビン監督は「復帰は近づいている」と話していたが、これで9試合連続ベンチスタートだ。
その大谷翔平のエンゼルスと対照的なのが、同じア・リーグ西地区のライバルであるマリナーズだ。
エ軍は8月上旬のトレード期限までに若手有望株と引き換えにホワイトソックスから先発右腕ジオリト(現ガーディアンズ)、メッツから救援右腕リオン(同マリナーズ)ら計5人を獲得。9年ぶりのポストシーズン(PS)進出に向けて珍しく買い手側に回ったが、戦力の上積みにつながるどころか逆に失速。トレード期限以降はメジャーワーストの7勝19敗。PS進出が絶望的になった8月末には先のトレードで獲得した選手を中心に5人を放出した。ただでさえ少ない有望株を差し出した代償は大きく、マイナーはさらなる若手の人材難を招いた。
一方のマリナーズは今夏のトレードデッドラインで、守護神シーウォルドをダイヤモンドバックスに、ベテラン外野手のポロックをジャイアンツにそれぞれ放出する見返りに若手有望株を獲得した。マ軍はトレード期限前日の7月31日(現地時間)時点で首位レンジャーズと5ゲーム差で、3位のエンゼルスに次ぐ地区4位だった。地区優勝を狙える位置につけながら、主力2人を放出したのは理由がある。
シーウォルドが来季終了後、FAになるだけに市場価値が高いうちに売却すると同時に、いまや抑えに定着した24歳のムニョスに活躍の場を与えるためだった。
エ軍とは対照的にマ軍のチーム状態は上向き、8月は2度の8連勝をマークして一時は地区首位に立ち、今では首位アストロズと2.5ゲーム差の地区3位、ワイルドカード争いでは圏内のレンジャーズと0.5ゲーム差(12日現在)だ。
トレードを利用して浮上したマ軍と、トレードをきっかけにチームを崩壊させたエ軍の間には天と地ほどの開きがある。
大リーグに詳しいスポーツライターの友成那智氏がこう言った。
「今季はマリナーズとエンゼルスのスカウティング、育成力も含めたチーム力の差が如実に表れました。マ軍は守護神シーウォルドを放出、余剰戦力の整理を行ってチームの活性化を図った。編成トップであるディポトGMは選手の売り時を掴むのがうまいうえに、これまでもチーム状況に合致した補強を繰り返し、地区優勝争いできるチームを築いた。『野球IQの低い選手は取らない』という同GMの方針のもと、ドラフトやFAでは実力に加え、野球を熟知した選手を獲得する傾向にあります。捕手のローリー、遊撃のクロフォードといった野球IQの高い選手がチームの中心になっています」