18年ぶりVへ導いた岡田監督の選手操縦術 6.24佐藤輝明“二軍強制送還”に見えた徹底「信賞必罰」
「嫌われ役」もいとわず、選手には緊張感
佐藤輝は、矢野監督時代からそうした態度が散見されたという。同僚選手も佐藤輝のこうした“悪癖”は知っている。
「矢野監督も佐藤輝の1年目に打撃不振を理由に二軍に落とし、緩慢な守備をした際には個別に呼び出してカミナリを落とした。ただ、矢野監督は選手に対する不満をマスコミには言わず、選手のミスをかばう監督だった。そうした温情はときに、勝負事においてはあだになる。その点、岡田監督は佐藤輝はもちろん、エースの青柳や西勇も成績が伴わないと遠慮なく二軍に落とすし、マスコミを通じて苦言も呈する。『嫌われ役』になることをいとわないのです。白黒をハッキリつけようとする態度に選手は緊張感を抱き、チーム全体が引き締まりました」(同)
佐藤輝は、7月5日の一軍再昇格後もなかなか浮上の兆しが見えなかった。岡田監督はスタメンから外したり、直接的にも間接的にも厳しく接したりしながら、しかし、粘り強く起用した。
その成果が、8月に入って数字に表れた。
「佐藤輝でなくても、監督からマスコミを通じてボロクソに言われれば、面白いはずがない。少なからず反骨心が芽生えたのは確かでしょう。8月は月間打率.300、3本塁打で16打点はチームトップ。9月も14日時点で打率.359、5本塁打、15打点と好調をキープしています」(球団関係者)
佐藤輝の復調に伴い、岡田監督の佐藤輝に対する発言もここにきて変わり始めた。
「曲がりなりにも精いっぱいやっていると思う」
「姿がいいやんか、よくなってきたよな」
この日は岡田監督の胴上げ直後、2人がマウンド付近で抱き合うシーンも見られた。佐藤輝は「僕史上で一番最高な日」と言った。
こうしてチームを就任1年目にして頂点に導いた岡田監督のハンドリングは陽子夫人のサポートにも支えられている。(つづく)