2023年ドラフト「得した球団、損した球団」スポーツライター安倍昌彦氏が掛け値なしに採点
巨人2位・森田駿哉は「実戦力」なら西武1位・武内夏暉より上
今年の社会人選手は上位候補が少ないといわれる中、2位で森田駿哉(26=Honda鈴鹿、投手、左左)を指名しました。
森田はすでに26歳を迎えており、故障もあって大学、社会人ではほとんど投げられませんでしたが、「実戦力」に関しては西武1位の武内よりも上だと思います。
185センチ、88キロと長身でコントロールが良く、平均145キロの球速と多彩な変化球で緩急をつけられる。そして、大舞台に強い。7月の都市対抗ではトヨタ自動車の補強選手として優勝に貢献。当たり前のような顔をして、好投する姿はまさしくプロでした。
3位の佐々木俊輔(23=日立製作所、外野手)は、帝京、東洋大とアマのトップレベルを渡り歩き、入学時からレギュラーを張ってきました。まずはディフェンス力が素晴らしい。強肩かつ俊足を生かした守備範囲の広さはおそらく今の巨人でも一、二を争うのではないか。来春キャンプの守備練習で注目を集めること請け合いです。まずは守備から一軍入りを果たし、打席に立つチャンスをもらってそれを生かすことができるかどうか。
4位の泉口友汰(24=NTT西日本、内野手)も大阪桐蔭、青学大とエリート街道を歩んできた。こちらは走攻守の三拍子が揃っています。巨人は来季、大卒2年目となる門脇を遊撃で起用する方針だと聞いています。門脇がスピードを生かした華やかな守備をするのに対し、この泉口は堅実さがウリ。遊撃候補には高卒4年目を迎える中山もいますが、門脇とはタイプが違う泉口の存在は刺激になると思います。
5位の又木鉄平(24=日本生命、投手)は東京情報大時代にリーグ戦で見たことがあるんですが、ストレートが強くて重い。捕手の捕球音が「ドカン!」と音がするような破壊力が印象的でした。
出身高校の日川(山梨)はラグビーで有名な学校であり、東京情報大も含めて野球の有名校とはいえませんし、又木自身も制球に課題があった。ただ、日本生命という名門チームが獲得したこと自体、ポテンシャルの高さを証明していますし、社会人に入って着実に力をつけてきました。