ブルージェイズが大谷翔平に総額1080億円も用意と…メジャーの球団経営は赤字にならないの?
オーナーにとって保有球団は「投資物件」
日本のプロ野球とメジャーの市場規模は年々差が開いていて、2018年のデータによると、プロ野球の約1800億円に対し、メジャーは約1.5兆円。5年が経った現在は10倍以上の差がついているとみられる。
昨オフはソフトバンクが日本ハムからFAした近藤を、NPB市場最高額の7年総額50億円で獲得した。メジャーの市場規模が10倍超ならば、メジャー球団が大谷に500億~1000億円を用意できても不思議ではない。
「メジャーは採算が見込めない限り、これほどの金額を提示しません」と、鈴村氏がさらに続ける。
「前提として、メジャー球団と日本のプロ野球のオーナーの考え方はまったく違う。メジャーのオーナーは自身が保有する球団を投資物件として捉えているケースが少なくありません。株のトレーディング感覚で球団を売却するのです。例えば、大谷を10年1000億円で獲得して、1年目のオフに球団を売却すれば、大谷に支払う金額は1年分で済む。残りの金額は新オーナーが引き継ぎます。売却金額によっては大谷に支払う1年分の年俸以上のリターンを狙えるのです。買い手はいるか? メジャー球団の資産価値はここ10年で右肩上がり。しかも、米国で30人しかなれないメジャー球団のオーナーというポジションは社会的地位や名誉の象徴です。売却されれば、買い手として手を挙げる億万長者がいくらでも現れますよ」
大谷がチームにいることで、ただでさえ高騰を続ける球団に、さらなる付加価値が加わるという。実際、昨年8月に身売り話が浮上した際のエンゼルスの資産価値は20億ドル(2735億8600万円=当時)に達したと言われ、モレノ・オーナーが03年に球団買収した時の1億8400万ドルから19年間で約10倍になった。
「大谷は二刀流で前人未到の偉業を次々と達成し、MVPを2度獲得するなど選手としての価値はもちろんですが、広告塔としてもプレミア級の選手です。エンゼルスの球場への広告出稿費は日系企業の参入もあり、約100万円から200万~300万円にハネ上がったと聞く。おまけに、男女問わずに影響を与えられる極めて珍しい存在です。どの球団が大谷を獲得するかはともかく、直後にオーナーが球団を売却する……なんてことも、現実的にはあり得ます」(鈴村氏)
メジャー球団のオーナーにとって、大谷はいくらつぎ込んでも痛くもかゆくもない超優良物件なのだ。